1517年にマルチン・ルターの宗教家改革によりドイツで誕生したルーテル教会は、ドイツだけでなく北欧にも広がり、国民教会となりました。その後、アメリカにも渡り、更にアジア、アフリカ、ラテン・アメリカなどに至って今日全世界に存在するようになって います。
マルチン・ルターの宗教改革について説明しますと、その改革は当時の16世紀の ローマ・カトリック教会が正しい福音信仰に立ち戻ることを聖書に基づいて訴えたので した。それは、神がイエス・キリストの十字架と復活によってのみ、私たち人間の罪を許し、人間はイエス・キリストにおいて示された神の恵に基づいて生かされていくことを強調 した教えでありました。ここから、ルターの有名な言葉「聖書のみ、恵のみ、信仰のみ」という、宗教改革の三大原理が生まれました。

この原理に基づく信仰と改革の参加を当時の全教会に呼び掛け、賛同した信仰の者たちと、それらの教会において、教義、制度、慣習の必要な改革を徐々に実施していきました。信仰上も、さらには政治的にも、対立 の時代がしばらくつづき、宗教改革に基づく、ルター派の教会は、その後、ドイツから北欧に広がリました。

アメリカのルーテル教会

主に17世紀からドイツ、オランダ及び北欧の諸国から、北アメリカ大陸の開拓者と してたくさんのルター派の教会員が移住してきました。その主な入植地域は、ペンシル ベニア、バージニア、ノスカロライナ、サウスカロライナでありました。最初は、牧師 がいなくても、信徒による独自の礼拝を守り、その後、牧師がドイツなどから派遣され、 教会の組織も正式に整っていきました。

それらの移住者はドイツ、オランダ、北欧のデンマーク、スウェーデン、フインランド、ノルウェーからの人々であり、民族的背景の違い、言語の相違、それぞの教会制度・伝統の背景もあり、はじめは同じ民族同志のルーテル教会を各地に形成し ました。
だが、20世紀に入ると、それぞれの背景を継承しつつ、アメリカでのルーテ ル教会が成長し、合同がなされるようになりました。そして、10年前の1987年には アメリカの三つのルーテル教会が合同して、アメリカ福音ルーテル教会 (Evangelical Lutheran Church in America)となりました。これらの歴史的な背景をもったアメ リカのルーテル教会から、1892年に最初の宣教師が送られ、日本でのルーテル教会 の伝道が開始され、日本福音ルーテル教会が形成されてきました。

日本福音ルーテル教会の最初の礼拝は、1893年のイースターにアメリカの南部一致シノッドから派遣された宣教師シエラーとピーリーにより、九州の佐賀で守られまし た。これが日本でのルーテル教会の伝道の始まりであります。

伝道の手段としては、 信徒教育のためにルターの著作による「小教理問答」の翻訳、またルーテル教会は「み言葉による礼拝」による教会形成を中心にするために「礼拝式文」の出版、伝道の担い 手と日本人による教会組織の早期実現のために牧師養成、そのための神学校の創立が重要なこととして手掛けられました。

初期の教会の歴史に於いても、伝道の業は教育事業とともに行われました。熊本には 牧師養成と男子の青少年の教育を目的とした九州学院、女子教育を目的とした九州女学院、更には各地の教会の付属施設として幼稚園による幼児教育の分野での教育事業で貢 献してきました。

また、社会福祉の分野においても、熊本における慈愛園、東京での東京老人ホームを始めとして、開拓的働きをして、日本社会のために貢献してきています。

先の戦争の時には、1941年に政府の圧力もあって日本におけるプロテスタントの合同(教会連盟的な合同)として、日本基督教団結成に際して第五部に参加しましたが、それは「アウグスブルク信仰告白及びその他の宗教改革信条に基づく教会の信仰を保持し教会としての働きを全うし得ること」を条件としたものでありました。

しかし、戦争の終了ととともに、そのような部制は廃止され、1947年に旧ルーテル教会の牧師有志は熊本で臨時総会を開いて、教団離脱を決議し、日本福音ルーテル教会を再建する新たな出発をしました。

なお、1953年以来、在日ルーテル系ミッションの合同運動が起こり、フィンランド福音ルーテル協会、オーガスタナ・シノッドは合同し、さらには一九六三年には東海福音ルーテル教会も合同し、新しい日本福音ルーテル教会を発足させました。

また、1969年、当時の議長・内海季秋氏のアスマラ発言を皮切りに、ルーテル教会は海外教会に依存せず、各個教会と全体教会事務局の自立を決意し、1974年にその 目的を達成しました。そして、1990年の8月の全国総会において、宣教百年記念事業計画が策定され、宣教開始の百年の節目の1993年には、熊本で宣教百年全国大会が 「さあ、出ていこう。~宣教二世紀に向かって」という主題のもと開催されました。こ の大会には、全国から3,000名の信徒、牧師が集い、宣教百年の歩みを感謝しつつ、 宣教二世紀に向かって宣教の使命と決意を新たにし、「宣教百年信仰宣言」を表明しま した。

宣教二世紀に向けて、日本福音ルーテル教会は各々の信徒、牧師が神のみ言葉によって強 められ、個々の教会、教区がキリストのからだとして有機的に繋がりながら、更なる 「伝道する教会」への成長を目指しています。

教義

旧新約聖書が信仰と行為の唯一明確なる規範たることを主張し、信条として使徒信条、ニケア信条、アタナシオ信条、アウグスブルク信仰告白、同弁証論、大・小教理問答、シェマルカルド信条、和協信条を採用します。

ルーテル教会は信仰の本質において一致すれば、その他の礼拝形式や教会制度・組織の一致を必ずしも求めませんが、礼拝における信仰生活の育成と、そこにおける神のみ言葉の重要性を強調するために一定の礼拝式を共用します。

また、信仰教育を重んじ、特に小教理問答を通して信仰と生活の訓練を図ることを伝統的に受け継いでいます。